「手洗い」と「うがい」 --<理由 or 根拠>--


<理由>

c- p.136
感染症を予防するには、さまざまなウイルスや細菌の感染経路をよく知って、それを絶ち、体内に侵入させないようにします。

a- p.176-177
いわゆる風邪は、専門的には「普通感冒」、英語では「コモン・コールド」といわれる。
風邪はインフルエンザとは異なり、特定のウイルスによる病気ではない。
アデノウイルス、コロナウイルス、ライノウイルス、コクサッキーウイルスなどのウイルスによって引き起こされ、鼻やのどなどの上気道に炎症が起こる病気を風邪と呼んでいる。(略)

インフルエンザが突然の発熱で始まるのに対して、風邪は比較的ゆっくりと発症する。
くしゃみ、鼻水、鼻づまり、咳、のどの痛み、軽い発熱、全身の倦怠感などが主な症状である。
インフルエンザに比べると感染力も弱く、症状も普通1週間程度で治まる。

インフルエンザや風邪の予防には、「手洗い」と「うがい」が最も有効といわれている。

くしゃみなどで周囲に飛び散ったウイルスがテーブルや手すりに落下し、それが手に触れる。
その手が目、口、鼻などに自然と触れてしまうために感染が起こる。
そこで「手洗い」が、インフルエンザや風邪の予防に効果をあげるのである。

「うがい」も、のどに付着したウイルスを洗い出すので有効だが、のどに付着してから時間が経てば意味がない。
ウイルスが細胞の中に入ってしまうからである。
人込みから離れたときや帰宅したときなど、頻繁に行う必要がある。

a- p.70
飛沫感染とは、咳、くしゃみ、会話のときなどに、口腔内から出される飛沫によって伝播される場合である。
飛沫とは、病原微生物のまわりを水分が取り巻いており、比較的大きな水滴粒子(といっても直径5μm程度以上)をいう。

空気中に放出された飛沫粒子は1秒間に30〜80cm落下するので、無風状態では1m四方にしか届かないと考えてよい。
ただし、くしゃみなどの場合、数m先まで飛沫が放出されることを知っておく必要がある。
インフルエンザ、(略)、マイコプラズマ肺炎、百日咳、(略)、アデノウイルスなどが飛沫感染を起こす。
直接、飛沫が眼や口の粘膜から侵入することもある(が、手すりやテーブルなどに落下した飛沫に手が触れて、その手を介して口などから感染することもある。)(略)


<根拠>

a- p.45 
細菌とウイルスの違い
(略)1個の細菌は、1回の分裂で2個に増殖するが、ウイルスの場合は1個の粒子が細胞に感染すると、普通数百〜数千個の子孫ウイルスが産生される。

b- p.8
細菌
(略)細菌は二分裂という方法で増殖する。
つまり1つの細菌細胞が分裂して、まったく同じ性質を受け継いだ2つの細胞になるのである。
条件がよければ細菌は20分ごとに1回分裂し、18〜24時間たてば1つの細菌細胞は1000万個の細菌細胞へと増殖する。

a- p.50
細菌が増殖するためには、「水」と適切な「温度」と「栄養」が必要である。
夏場に食中毒が発生しやすいのは、多くの細菌が30〜40度で最もよく増殖すること、食品自体が「水」と「栄養」を供給していることにある。

この三つがそろうと、二分裂によって増殖する。
つまり、1個が分かれて2個になり、その2個もそれぞれ2個になる。
したがって、指数関数的に増殖する。

1回の分裂に必要な時間は、細菌によって大きく異なる。
最も増殖しやすい条件下で、食中毒を起こす腸炎ビブリオは10分少々、病原性大腸菌O157で約15分、結核菌は極端に遅く24時間である。
1個の病原性大腸菌O157が、条件さえそろえば7時間半後には10億個になるということである。

c- p.40
インフルエンザの増殖は桁違い
インフルエンザも風邪症候群の一種ですが、症状の重さや流行規模の大きさは別格といえます。
その原因は、増殖のスピードが速く、増加量が桁違いに大きいためです。

1個のウイルスが侵入すると、8時間後には少なくとも100個、16時間後には1万個、そして24時間後には100万個のウイルスが産生されます。
100万個に達したところで、ふるえるようなさむけが現れ、続いて39℃以上の高熱に襲われます。



<出典>

a-「あなたを狙う感染症」 本田武司・飯島義雄著
  (株)小学館 2000年4月20日第1版第1刷発行

b-「恐怖の病原体図鑑 <ウイルス・細菌・真菌 完全ビジュアルガイド>」
 トニー・ハート著 中込治訳 西村書店 2006年7月13日初版第1刷発行

c-「図解 ウイルス感染症がわかる本」 田口文章著
  成美堂出版 2005年5月20日発行


2007.01.07 (抜粋) 川村 美佐子

 
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